はじめに

物理では状況に応じて摩擦を無視したり、物体の大きさを無視したりといった"理想化"を良く行います。そうすることで"力とは何か?"、"力が物体にはたらくとはどういう事か?"などといった物理現象の本質を探り出そうとするのですが、そんなに簡単に理想化された世界をイメージできないですよね。特に、我々の住んでいる世界には空気抵抗も摩擦力もあり、物体の大きさもあるわけで、皆さんがそれぞれの現象に対して一定の感覚をもっています。自分の感覚と物理で学習する感覚が一致しないと、学習した内容を実感しづらいのではないでしょうか?

当研究室では、重力の強さや摩擦係数などの各種物理量を変更できるCGを活用した物理シミュレータの開発を行っています。各種パラメータを変更しながら、「これはなんとなく実生活で経験がある状況だ!」とか、「この物理量の大きさを変えるとこういう世界になるんだ!」とか、色々試しながら物理的思考能力を養ってもらえればと思います。皆さんの学習の一助になれば幸いです。

ただし、CGシミュレーションは出来るだけ現実との接点を意識できる状況を作る事を心がけてはいますが、物理は実証科学なので、やはり実際に実験をやる事はとても重要です。その大事さを意識しながら、一方で、実験は準備が大変だったり、測定誤差があったりで、必ずしも本質が見えやすいとは限りません。実験と理論の勉強の間で上手く本サイトのシミュレーションをご活用いただければ幸いです。